あけましておめでとうございますおよびお久しぶりです。かれこれ1か月ほど記事を書いていなかったことに気づいて愕然としています。
なにしてたかってこんな感じでした。
将棋を知らないHSプレイヤーに伝える加藤一二三ってこんな人
・初心者が一度は通るフェイスハンターを63年間偏愛し斬新な発想で新カードを多数採用
・環境トップに長年君臨したウォリコンとミラクルローグともほぼ互角に戦う
・3割勝てるフェイスハンターは優秀、私が弱いだけという名言を残す
アラド、3人目の二次転職が終わった
やっと巨大ロボパンチが打てる
やっとA3になれた・・・疲れた pic.twitter.com/w5QBYO2veY
シャドバしながらフォーゼ見てたら6〜7話進んだ
2号が強化フォーム出たし、あと6話前後で最強フォームが出る頃合いかな
・・・こいつ、HSしてないな?
と前置きはここまでにして、僕の愛するテンポデッキ各種が現環境ではほぼ死んでしまっているので、なぜそうなっているのか、それぞれのデッキに関して考え、現環境でどう弱いのかということを考えていこうと思います。
1.現環境所感
今の環境はさんざん揶揄されているように「海賊vsレノ」の構図になっていますね。
もっと噛み砕いて言えば、「アグロvsコントロール」、すなわちミッドレンジ系統のデッキがほぼ見られない状態と言えます。
実際にテンポストームの最新meta snapshot(https://tempostorm.com/hearthstone/meta-snapshot/standard/2017-01-15)を見てみても、上から5つは海賊海賊海賊レノレノですね・・・
この対立でカギになるのは
・アグロの攻めが速いか、レノの受けが強いか
・アグロミラーではどちらのほうが先に仕留められるか
・コントロールミラー(レノミラー)ではどちらのバリューが高いか、相手に返せない動きができるか
そういったところになってきているように思います。*1
そんな中でテンポ・ミッドレンジデッキの生きる場所は・・・
vsアグロ→カード1枚1枚のバリュー勝負に持ち込む前に顔を削り切られる
vsレノ→カザカスから生まれるポーションが強く、AoEで返される。
また、ボードに脅威を置き始めるあたりでちょうど相手も脅威を置き始められる
と、強みを活かせない環境になっているのではないでしょうか。
2.テンポデッキって?
テンポという概念は人によって表現が結構揺れるので、理解しにくい概念のように思います。
僕なりに表現するならば、「複数枚のカードのシナジーでカード1枚当たりの効果を高め、 盤面に大きな影響を与える動きを持つデッキ」、もしくは「毎ターンマナをきっちり使い切り、使用マナに対して一番盤面に影響を与えられる動きができるデッキ」などのように表現できるでしょうか。
これに相当すると僕が考えた、今回扱うデッキは
・テンポメイジ
・テンポウォリアー
・Zoo
以上3つです。
3.各デッキ解説
3-1.テンポメイジ
(参考レシピ)
このデッキは、<魔法使いの弟子>によってコストを下げたスペルを1ターンに複数枚使い、<マナ・ワーム><フレイムウェイカー>などの効果を複数回誘発、またスペルダメージ系のカードと組み合わせることでそれぞれの火力を上げることで中盤(4~6ターン目)に大きくボードを優勢にし、そのままミニオンで殴ったり火力で押し切ったりして勝つことを目的としたデッキです。
性質上、アグロにはやや不利、ミッドレンジには有利、コントロールにはやや不利~微有利が付きます(振れ幅がある理由は後述)。
このデッキが現環境であまり使われない理由としては、
・メイジを使うならレノメイジのほうが現環境にあっている
・アグロにやや不利=海賊系統と戦うのがつらい?
といったことが考えられるでしょうか。
ただ、テンポメイジの長所は「構築で相性を多少変えることができる」ことです。
上のデッキには<強盗ログ><大魔導士アントニダス>といったカードが入っていますが、この二つはvsコントロールのカードです。
終盤、<強盗ログ>で作ったコインを<大魔導士アントニダス>で<ファイアーボール>に変え、一気に火力を叩き込むという勝ち筋を作ることで、コントロール相手でも息切れせずに攻め切る手段を作ることができます。
また、一昔前はチャイナテンポという名前で知られていた、<カバル教団の魔導書>や<スペルスリンガー>からスペルを作り出し、<希望の終焉ヨグ=サロン>のカウントをためてワンチャンスを狙うデッキパターンも存在しました。どちらもデッキ外からスペルを作ることでコントロール相手にバリュー勝ちを目指せるという形です。
このように、テンポメイジはメタを読んだデッキ構築によっては環境で細々とでも生き残ることができるデッキといえるかもしれませんが、現環境ではtier3下位に留まっています。
3-2.テンポウォリアー
(参考デッキ)
こちらは下のドラゴンテンポウォリアーが誕生する前、スタンダード施行の直前に生まれた形を発展させたテンポウォリアーです。
このデッキは序盤は<烈火の戦斧>や優秀な3マナミニオンを使って有利なボードを作り、中盤は1~3コストのカードを2枚前後使いドローしたり、挑発を立てたりしてより有利なボードを作り、終盤は大型ミニオンで止めを刺す、といったマナカーブ通りの動きを突き詰めたデッキとなっています。
初めに触れなかったのですが、武器というカードは1枚(=1度コストを支払うだけ)で複数枚の相手ミニオンに対処することができるため、テンポ獲得にかなり優秀なカードと言えます。
相性としてはアグロには武器のテンポスイングとミニオンのスタッツ、細かい除去の数で有利、ミッドレンジにはほぼ五分強(ハンターには不利)、コントロールには息切れしがちでやや不利となっていました。
ただ、このデッキは後述のドラゴンテンポウォリアーにとってかわられていきます。
その理由としては
・ヨグ=サロン、ミッドレンジハンターに対処するため、より攻め手の強いデッキが必要になった*2
・マナカーブ通り出すという動きではドラゴンシナジーを絡めたカードが優秀であった(特にアレクストラーザの勇士が3,4枚目の戦斧のように活躍)
といったあたりが考えられるでしょうか。
続いて、テンポウォリアーの発展形の1つ、ドラゴンテンポウォリアーです(こちらは現代に合わせて海賊を採用)。
こちらは上のテンポウォリアーで薄かった5、6マナの動きを追加し、ドロー関連のシナジーをなくした代わりにドラゴンシナジーを加え、より序盤から強い盤面を作り、攻めっ気を増した形になっています。
このデッキも<止めの一撃>のnerfにより弱体化されましたが、それ以前はウォリアーといえばドラウォリと思われるほど大会やラダーで活躍していました。*3
今はこちらのドラゴン型よりもさらに攻撃力が高くメタにあっている海賊ウォリアーの流行、およびレノデッキへの相性があまりよくないことが原因となり、ドラゴンウォリアーの使用も減少しています。
こちらの相性はアグロには細かい除去が減ったが良質なスタッツのミニオンや挑発が増えた分微不利~五分、ミッドレンジには五分~微有利、コントロールには微不利~五分といった感じでしょうか。総じてしっかりとシナジーを発揮できた時は相手を選ばずまんべんなく戦えたデッキと言えます。
3-3.Zoo
(参考デッキ)
このデッキはテンポデッキじゃなくてアグロデッキだろという突っ込みをする方もいるとは思いますが、個人的にはテンポデッキの分類に近いと思っているので、今回取り上げました。
こちらのZooは、大量に投入された1マナミニオンを使い、序盤から盤面に小型(で場保ちの良い)ミニオンを並べ、相手のミニオンはそれらのミニオンをバフしてトレード、盤面を自分の優位に進め続けながら相手の顔面を殴り、できる限り早期に決着を決めるといった動きをするデッキです。
<ワンナイト・イン・カラザン>でディスカード(手札を捨てる)系のシナジーが追加されたこともあり、2枚目の画像のようなディスカードZooも一つのテンプレとして成立しました。
相性としてはアグロ系にはより強固な盤面を作れるためやや有利、ミッドレンジには単体で強いミニオンをバフしたミニオンでトレードすることでテンポをとれ、速やかにラッシュダウンしやすいことで有利(AoE、回復の多い相手には不利)、コントロールにはAoEの枚数などで不利が付きがちとなっています。
今現在苦しい理由は、純粋にレノ系デッキのAoEと回復でリソースを切らされてしまうからでしょうか。
4.現環境での問題点
以上3つのデッキについて解説したので、それぞれの特徴も踏まえてなぜ今だめなのか考えてみましょう。
・そもそも全般的な問題
どのデッキもカードを複数枚使いカードパワーを高めるという動きを軸にしている以上、息切れ(手札切れ)が激しいです。また、シナジーを重視するためカードドローに左右されやすいです。*4
そして、盤面をミニオンで作っていく形が多いため、AoEなど1枚で複数のミニオンに対処されると前述の息切れの速さと相まって完全に切らされてしまいがちです。
・アグロ系デッキとの相性
どのデッキもアグロ系デッキには大きく不利はついていませんでした。
ただ、現在主流の海賊系のカードの火力は以前の比ではなく、生半可な受けが通用しないほどです。(例をあげるなら、後攻1ターン目に出したコイン終末預言者が殺されることもあります)
なので、これまで五分~微有利程度だったデッキでも死にます。
・コントロール(レノ)デッキとの相性
テンポメイジを除き、テンポウォリアーおよびZooは挑発を飛び越えて出せるバーンダメージがほぼありません。*5
そのため、テンポウォリアーはカーブ通り出したミニオンが単体除去され続けるといつかバリュー負けしますし、Zooはヒーローパワーでのミニオン補充ができるとはいえAoEを数回受けた後で回復されると削りきるのは困難になります。
テンポメイジはvsコントロールに寄せることで戦うことはできますが、逆に環境にいるアグロに狩られる形になってしまうので、どちらか一方を捨てるような調整になってしまいます。
つまり、どのデッキも狩る対象だった以前のアグロデッキやミッドレンジ系デッキがいない=明確に有利を付けられる相手が少ないことが現環境で沈んでいる原因と言えるでしょう。
5.テンポデッキの今後
海賊のnerfが噂されたり、新環境が待たれたりしている現在ですが、今の環境ではテンポデッキやミッドレンジデッキはこのとおり肩身が狭いです。純粋にカードパワーで負けている以上、この環境でのし上がるのは残念ながら難しいかなと思えてしまいます。
そもそも現環境はマナをチートする(もしくはそのレベルのカードパワーを持つ)ことが一つの生存条件のようになっているので、堅気*6なテンポウォリアーやZooにとってはつらいのは当たり前かもしれません。*7
海賊のnerfで環境が少し低速化すれば、コントロール相手にメタを張ったような形でミッド帯のデッキが復活することもあるかもしれません。また、レノがスタンダードから落ちる来年度のスタンダード環境ではまた新しいテンポデッキが生まれるでしょう。
しばらく冬の時代は続きますが、細々と研究を続けて自分の楽しめる形でこのゲームを続けて、あわよくば少しでも戦えるデッキが作れればいいかなと思いつつ、今回はこのあたりで筆を置こうと思います。
長文になりましたが最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
*1:僕はどちらも使ったことがないので細かいプレイングはあまりよくわかりませんが。
*2:ドラゴンテンポウォリアーが生まれたのは2016/6月の上~中旬。当時はヨグ=サロンや荒野の呼び声がnerf前で流行していた
*3:nerf後の前環境後半はコントロールウォリアーが主流になった
*4:反面ドローがかみ合った際のぶん回りはすさまじく、多くのデッキを手も足も出させずに葬ることも可能なパワーを秘めています
*5:どちらも突撃関連でダメージは出るが、30点を削りきるような力もなく、また挑発が出るだけで通らなくなってしまう
*6:マナカーブ通りの動きをするという意味
*7:ついでに僕の愛するハンターもつらいです。かなしい